鋳金って?

 鋳金というのは金属工芸の技法の一つ。
金属を溶かして型に流し込み形を形成する、いわゆる、「いもの」という行程を中心として、原型をつくったり、型を作ったり、仕上げ作業したり、金属に色を付けたり……。それらの作業をトータルして鋳金というのだ。そしてこのような様々な行程を経てつくられた作品が鋳金作品と呼ばれる。
 「いもの」という行程はいたってシンプルだ。先述のように金属を溶かして流し込むだけである。しかし、形の元になる原型の素材や、その流し込む型は各作家のそれぞれの専門の技法が異なるのである。
 型の種類で分けると真土型、石膏型、生型、etc...原型も惣型、蝋型など、他多くにジャンルは分かれるのだ。まして、工業鋳物の世界まで広げて語るとすればその裾のはまだまだ広い。

八稜鏡 7世紀

 人類が2足歩行を始め火を見つけ、大地の宝である金属を探しそれを溶解して形を作る……。まずは融点の低い青銅から、そして融点は高いけれど実用性に勝る鉄器へと技術は確実に進歩してゆく。
 素晴らしき先人の知恵である。
 ご存知のように鋳物の文化は世界の何処の文明の曙時にも存在している。そして人類の歩みと共に脈々と受け継がれこうして現在日本の地に美しい工芸の技法の一つとして存続しているのである。

 そういう意味でも、我々が受け継いだ技術をたどって古代の文化を知るのは楽しい。
 たとえば、銅鐸・銅鉾などは一時期を経ると作られなくなるが、銅鏡は何世紀にも渡り作り続けられ素晴らしい工芸文化として存続し続けた。現在の技量と遜色ない高い技術を持ち我々に多くを教えてくれる作品は多い。
 何もかもがデジタル化し新しい技術の発明により経済も連動して世の中は変わってゆくが、我々鋳金作家は牛歩の歩みでかまわないのかも知れない。新しい技術を目指すより、古代からの大切な文化を後世に受け継ぐときに、大切にはぐくんで受け渡せばいいのだ。間違っても当代だけの間に美術工芸のなかで画期的な技術の変化はないだろうから……。あとは、残った作品が自分たちの時代を語ってくれるだろう。今までの歴史と同じように……。

2002/08/01 百田 潤子