サン・マルコ寺院 イタリア/ヴェネチア
---------------------------------------------------------------
西暦8世紀から一千年間、地中海交易で栄えた海洋都市国家「ヴェネチア」。
その大聖堂の正面に、4頭の馬のブロンズ彫刻が置かれている。

完璧な造形、鋳造技術の上でも素晴らしいこの彫刻は、遥かローマ時代まで遡る。
金鍍金を施しやすくする為に、銅の割合が100%に近いという。
(鋳造がとても難しい。)

西暦1404年、フランス諸候とヴェネチア共和国からなる「第四次十字軍」は、
エルサレム奪還に向かう途中で、ビザンチン帝国の王位継承争いに巻き込まれた。
イスラム勢力と戦うどころか、同じキリスト教徒の住むコンスタンチノープル
(現イスタンブール)を攻略してしまった軍勢は、当時の戦争の常として、
同じキリスト教徒に対しても破壊と略奪の限りを尽したのだった。
この4頭の馬達は、その時の戦利品である。
コンスタンチノープルに来る前は、ローマの凱旋門の上に飾られていたとか、
アレキサンドリアにあったという説がある。
ナポレオンのイタリア侵入の時(1797年)は、
やはり戦利品として一時フランスに持ち去られていた。

いずれにしても、約二千年前に造られたギリシャ・ローマ彫刻の傑作である。
それにしても、盗んで来たものを大聖堂の正面に堂々と飾るなんてね・・・。
写真・文:小林 京和
